ブログ

ロマンとソロバン

2026/06/03

セルワールディング 岡田 龍一

先日、freee主催のセミナー、Takramとニューピースの『代表と参謀のコンビが語るロマンとソロバンの経営論』に参加してきました。デザイン経営で知られるTakramと、ビジョニングを提唱するニューピース、それぞれの代表と参謀コンビが「ロマンとソロバン」をテーマに語り合うという内容で、参加前からかなり楽しみにしていたのですが、終わった後もしばらく頭の中でぐるぐると考え続けてしまうくらい、刺さる話が多かったです。

 

登壇者は4名。

 

・田川欣哉さん(Takram 代表 / Design Engineer)
・嶽澤奏子さん(Takram 取締役 / Business Manager)
・高木新平さん(ニューピース CEO / ブランドディレクター)
・村上明和さん(ニューピース CFO)

 

 

バックオフィスはバックじゃない

 

嶽澤さんの話で印象的だったのが、組織の中での役割の捉え方について。Takramでは、いわゆるバックオフィス的な機能を「組織そのものをデザインする」主体として位置づけていて、全員が当事者意識を持つ文化をつくっているとのこと。「誰かが支える」ではなく「全員でつくる」という感覚の違いって、組織の雰囲気にじわじわ出てきますよね。規模の大小に関わらず、通じる話だと思いました。

 

ロマンは「小さく始める」ほうがいい

 

高木さんの話で面白かったのが、ロマンとソロバンの「順番」について。いきなり全社でロマン全開でいくのではなく、まず個人が人件費だけで地域案件やスタートアップ支援などを小さく試し、うまくいったら組織として抽象化・メニュー化して広げていく——という考え方でした。このサイクルには3〜5年かかるイメージだとも。ビジョンや理想を掲げることと、それを持続させることって、対立するように見えて実はセットなんだな、と改めて感じた部分でした。夢だけ語っても飯は食えないし、収益だけ追っても熱量は生まれない。その両方をどう「順番よく」つなぐか、というのがポイントなんでしょうね。

 

AI時代は「蓄積」が差になる

 

村上さんの話で刺さったのが、AIが進化する時代におけるスキルの話。スキルそのものによる差別化はどんどん難しくなっていく一方で、個人の内発的な動機や、文化・知識・人間関係といった積み重ねが、むしろ大事になってくるという視点でした。自分自身も最近AIツールを使う機会が増えていますが、「道具をどう使うか」よりも「何のために使うか」という動機の強さが、結果に大きく差をつけてくるんだろうなと感じています。

 

「I」と「We」

 

会の後半で特に印象に残ったのが、経営者の「個(I)」と「組織(We)」をどう使い分けるかという話。リーダーの無意識って、思った以上に組織に伝染するんですよね。だからこそ、客観的なツールや数字を使って、自分自身を外から見る機会をつくることが大事だと。さらに印象的だったのが、「振り子の振り幅が大きいほどクリエイティブだ」という言葉。クリエイター的人格とCEO的人格、どちらかに決めるのではなく、その両極の間を大きく揺れ動くこと自体が創造性の源泉だという考え方は、「一貫性がなきゃいけない」「ブレちゃいけない」という無意識のプレッシャーから、少し解放してくれるものがありました。

 

− 参加してみて感じたこと

 

全体を通じて印象に残ったのは、登壇者全員が「ロマンとソロバンは対立するものじゃない」という前提に立っていたこと。そしてその中で、個人的に一番共感したのが、情熱の根っこは過去の実体験にある、という話でした。自分がなぜこれをやりたいのか、という問いの答えは、案外ずーっと昔の自分の中にある。「未来は過去の再編集だ」という考え方は、自分自身の動機を改めて掘り下げてみたいなと思わせてくれるものでした。こういう話を聞くと、日々の仕事の中で「なぜやるか」を意識し続けることの大切さを改めて感じます。というか、前回の「ブログ」でも同じようなことを書いていたのに気がついた。どうやら自分の中の核心というかテーマなのかもしれない…と思った一日でした。

一覧に戻る

CONTACT

お問合せ・ご質問