【 レポート 】「デザインの裏側にある思考とは?」学生と取り組むビールラベルづくり — 神奈川大学・講義レポート

2026/10/21

セルワールディング 中嶋

こんにちは。セルワールディングの中嶋です。

 

2026年6月に、神奈川大学の学生がホップを栽培し、企画からビールの開発まで取り組む

「神奈川大学ホップ栽培プロジェクト 2026」のデザイン講師として参加させていただきました。

 

 

 

「ホップ栽培プロジェクト」とは

 

神奈川大学ホップ栽培プロジェクトは、学生の方々がホップを栽培し、

企画を立てながらコンセプトや味わいを考案し、ビールを開発するプロジェクトです。

 

例年は、学生のみなさんが制作したラフを

デザイナーがブラッシュアップする形でラベルを制作していたそうです。

今回はその一歩手前、ラフを考える段階からデザインの考え方を学ぶことで、

学生自身がラベルデザインづくりに主体的に取り組めるよう、

講義を実施することになりました。

 

 

【 講義の概要 】

  • 1回目:6月23日(火) 神奈川大学 みなとみらいキャンパス
  • 2回目:6月30日(火) 神奈川大学 横浜キャンパス

 

実際の制作プロセスをもとにしながら、デザインの考え方を講義した後、

学生のみなさん自身がラフを制作し、そのアイデアをもとにデザイン案を展開しました。

 

最後は学生のみなさんの投票によって、2種類のラベルデザインが完成しました。

 

 

 

プロジェクト参加のきっかけ

 

 

 

きっかけは、以前デザインを担当した、

REVO BREWINGさんの「HONEY HUNT ALE」「Re:Mountain」でした。

これらのデザインを見てくださった横浜ファンカンパニーさんから、

今回ありがたいことにご指名をいただき、デザイン講師として参加することになりました。

 

 

 

 

【 講義1回目 】作り手と買い手、ふたつの視点を行き来する

 

 

 

今回参加するのは、デザインを専門に学んでいる学生さんではありません。

そこで、デザインの技術を教えるというよりも、

デザイナーが普段どんなことを考えながらデザインしているのかを知ってもらうことを目標にしました。

 

AIを使えば、誰でもたくさんのビジュアルをつくることができます。

だからこそ、「なぜこれがいいのか」「なぜこれを選ぶのか」を考えることは、

これからより大切になるのではないかと思います。

 

講義では、パッケージデザインを

「作り手の想いを、買い手に伝わる形へ翻訳すること」

と紹介しました。

 

商品の背景や伝えたいことを、そのまますべて詰め込むのではなく、

「お客さんにはどう見えるだろう?」「どうしたら興味を持ってもらえるだろう?」と

視点を行き来しながら、伝わる形を考えていきます。

 

実際に担当した「HONEY HUNT ALE」や「Re:Mountain」を例に、

どんな考えからデザインが生まれたのかをお話ししました。

 

 

 

 

【 講義2回目 】デザインができるまでの、頭の中

 

 

 

 

 

1回目のみなとみらいキャンパスでの講習を終えて感じたのは、「デザインの役割」は伝えられても、

その直後に自分でラフを考えるには、もう少し具体的な手がかりが必要だったかもしれない、

ということでした。

 

そこで2回目の横浜キャンパスでは、内容を少しブラッシュアップし、

 

目標を決める → 選択肢を広げる → 優先順位をつけ、取捨選択する→ 形にする

 

という、実際にデザインへたどり着くまでの思考も紹介しました。

 

完成したデザインだけを見せるのではなく、

「こんな選択肢も考えたけれど、今回はこういう理由で選ばなかった」という、

ボツ案も含めて選ぶプロセスをお見せしました。

 

「なぜこれを選んで、これは選ばなかったのか」というところまで一つひとつ紐解いてみると、

自分自身も普段どんな判断を重ねながらデザインしているのかを、改めて振り返る機会になりました。

 

 

学生の皆さんにラフを制作いただくのは講習後の約20分という

非常に短い時間の中でしたが、単に情報を一枚の絵に収めるだけではなく、

印刷方法を工夫したり、手に取ったときの体験まで考えたりと、

学生のみなさんから創意工夫のあるアイデアが出揃い、とても楽しく拝見しました。

 

 

 

「なぜ?」から、一番大切なものを探る

 

 

学生のみなさんが制作したラフをもとに、

実際の商品としてデザインをブラッシュアップしていきました。

 

その際に大切にしたのは、描かれた形をそのまま綺麗にするのではなく、

「なぜこの形にしたのか」を聞くこと。

 

どこが一番大切で、どこの部分はより良い方法に変えられるのか。ヒアリングをしながら、

学生のみなさんが考えたコンセプトをより伝わる形へ翻訳していきました。

 

 

 

 

 

完成したラベルデザイン

 

 

画像左:PROUD BREW 2026 -Blazing Cool Saison-(みなとみらいキャンパス)
画像右:#Ale Now 2026(横浜キャンパス)

 

 

 

PROUD BREW 2026 / みなとみらいキャンパス (画像左)

 

暑い太陽と爽やかなビールなど、他にも様々な要素が詰まったラフスケッチでしたが、

ヒアリングをしてみると、一番大切にしたいのは、みんなでビールを囲む「ワイワイとした楽しさ」。

そこで、たくさんあった要素を一枚の絵として綺麗にまとめるのではなく、

それぞれをステッカーのようなグラフィックにして、あえて賑やかに組み合わせる案を提案しました。

ラベルとしてだけでなく、ノベルティステッカーとして配布するなど、

その先の展開もご提案しました。

 

 

 

#Ale Now 2026 / 横浜キャンパス (画像右)

 

「#Ale Now 2026」のラフは、「世界中でシェアする」というコンセプトが、

地球とそこに集まる人々というモチーフでストレートに表現されていました。

そこで、その大きな構造は原案から活かすことに。

一方で、情報量が多くなりすぎないよう、

フルーティーさを表すモチーフなどノイズになりそうな部分は省略し、

一番伝えたいものを残すために何を削るかを考えながら整理していきました。

 

 

 

完成したデザインは、学生のみなさんの投票によって決定しました。

途中の投票コメントも見せていただいたのですが、単純な好みだけではなく、

「なぜこの色がいいのか」「なぜこちらのデザインが合っているのか」と、

理由を持って選んでくださったことが分かりました。

 

講義の最初に伝えたかった「なぜこれを選ぶんだろう?」という視点が、

最後のデザイン選びにも少しつながっていたのかなと思うと、嬉しかったです。

 

 

 

■商品概要 

#AleNow 2026
スタイル:ペールエール/アルコール分:5.0%/内容量:330ml

PROUD BREW 2026 -Blazing Cool Saison-
スタイル:セゾン/アルコール分:5.5%/内容量:330ml

 

 ■販売情報 

販売開始:2026年10月1日(木)
販売価格:オープン価格

※いずれも数量限定で、なくなり次第販売終了となります。
※販売開始時期は取扱店舗により異なり、10月1日(木)から一斉に取り扱いが始まるわけではありません。販売状況は各店舗へ事前にお問い合わせください。

 

■取扱店舗

▼瓶ビール
横浜髙島屋(お酒売り場)/セブン‐イレブン ハンマーヘッド店/グーツ いちょう並木通り店/VOYAGE(神奈川大学みなとみらいキャンパス1階)/2416MARKET/Trattoria Tabulè/牛鍋 荒井屋 万国橋店

▼樽ビール
REVO BREWING、横浜市内のクラフトビアバー

 

 

 

おわりに

 

今回、学生のみなさんにデザインの考え方を伝えるために、普段自分が何を考え、

何を選びながらデザインしているのかを改めて紐解いてみました。

 

実際のデザインは、いつも綺麗に順序立てて考えているわけではありません。

「こっちの方が良さそう」と直感的に手を動かしてから、

なぜそう思ったのかを後から考えることもあります。

 

それでも、最終的には「なぜこの形なのか」を言葉にして、

納得できるところまで考えないとお客さんへご提案することはできません。

 

 

今回講義をする中で、デザインの考え方を人に伝えることが

自分にとって初めての経験と思い、身構えていた部分がありましたが、

実際はいつもの仕事の中でご提案資料を作るときに考えていた事と

さほど変わりないことだったと気がつきました。

 

学生のみなさんにデザインについてお話しする機会でありながら、

自分自身にとっても、普段のデザインとの向き合い方を振り返る貴重な機会をいただきました。

 

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