突然ですが、こんな経験ありませんか。
「なんでこの仕事してるんだっけ」という自問に、うまく答えられなかった瞬間。
お金のため、と言えば嘘じゃないけど、それだけでもない気がする。
でも、じゃあ何のため?と言われると、言葉が出てこない。
そういう「もやっとした何か」を、ちゃんと言葉にしている人と、していない人とで、何かが変わるんじゃないか。
最近、そんなことをよく考えます。
「野球チームをつくる」という目標を掲げた会社の話
とあるクライント企業が一見本業とは全く関係のない目標を掲げていました。
「みんなが応援できる野球チームをつくる」
その会社は、街と一緒に生きていくような業種で、地域の高齢化や過疎化が、そのまま自分たちの問題になる。
じゃあどうする?という課題感の中に出てきた答えの一つが、野球チームだったそうです。
野球の試合を中心に人が集まって、地域が少しずつ元気になっていく。そういう絵を描いた。
「何のためにやるか」が決まると、お金の動きが変わる
野球チームをつくるにはお金がかかります。
でも「街を元気にしたい」という理由があるから、そこにお金を使うことへの迷いがなくなる。
「野球チームって本業と関係あるのか?」という問いが、「いや、これこそが自分たちのやるべきことだ」に変わる。
お金を使う先が、ちゃんと「なんのために」とつながっている。
それだけで、同じ支出がまったく違う意味を持つようになります。
渋沢栄一の言葉に『論語と算盤』というのがあります。
志(道徳・理念)と算盤(お金・経済)は、対立するものじゃなくて、両方あってこそ本物になる——という考え方。
この野球チームの話を聞いたとき、あ、これってそういうことなのかもしれない、と考えさせられました。
やりたいことが明確になるほど、お金の使いどころが迷わなくなる。
「やりたいこと」と「お金」って、実は仲良くできるのだと気がついた出来事だったのです。
少しだけ自分の話をすると
弊社セルワールディングでも、似たような体験があります。
「地方の中小企業のブランディングを支援することで、地域から日本を元気にしたい」という指針を表現するようになってから、出張に対する私の考え方が変わりました。
以前なら「出張費、増えてきたな。オンラインを増やしましょう。」と方針を示していたところ、「現地に行って、その土地と会社を自分たちの目で見ることが大事」という確信に変わりました。
同じ「お金を使う」という行為でも、意味がまるっと変わる。
別に経営者やリーダー層じゃなくても、同じことってあると思うんです。
「なんとなくやってる仕事」と「なんのためにやるか分かってる仕事」は、毎日の感じ方が違う。
それと同じで、お金だって「なんとなく使ってる」と「この理由で使ってる」では、積み重なったときの景色が変わっていきます。
「志」があると、不思議と人が集まる
この野球チームの話にはもう一つ続きがあって。
最初は「え、野球?」と思っていた周りの人たちが、少しずつ「面白そう」「応援したい」という気持ちに変わっていく。
その変化を見ていると、ちゃんと言葉にされた「やりたいこと」って、人を動かす力があるんだなと感じます。
何のためにやっているか分からない場所より、ちゃんと旗が立っている場所に、人は集まりやすい。
それは会社でも、チームでも、変わらない気がします。
これはお金(資金)の正しい使い方のひとつなのだと思いました。
「なんでこの仕事してるんだっけ」
もしそう思う瞬間があったとしたら、それはちょっとだけ立ち止まれるチャンスかもしれません。
「やりたいこと」を言葉にしてみると、意外とお金の使い方が変わって、その先には周りの人の巻き込み方までも、変わってくることがある。
「やりたいこと」と「お金」は、矛盾しない。矛盾させてはいけない。
むしろ、仲良くさせるのが、ブランディングのおもしろいところだと思っています。
※この投稿記事は、Podcast「会計とデザインラジオ – となりで聞こえる会社経営の話」
(2025年11月配信回「お金とブランディングの接点」)を元に再構成されています。
